新時代を担う?!身体だけでなく地球環境にも優しいSDGsな「藻類」

段々身近になってきたSDGsという言葉。
持続可能な世の中を目指すべく世界共通の17の目標が掲げられ様々な取り組みが行われています。
そんな流れのなかで、藻類がある理由で注目されていることをご存知ですか?
食事やサプリメントでも使用される藻類がどうSDGsに貢献しているのか、新時代を担うとされる藻類の魅力をご紹介します。

目次

SDGsって何?目標と各国の達成状況について

まずはSDGsについておさらいしておきましょう。
SDGsとは、2015年9月に開催された国連サミットの「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている国連目標です。地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」を根本に置き、17の目標を掲げています。SDGsの17の目標と、各国の達成度合いは以下のような状況です。

SDGsが掲げる17の目標

SDGsが掲げる17の目標は以下の通りです。

上記の17の目標は、全部で169個ものターゲットに細分化。細分化された169個のターゲットには、232個の具体的な指標が示されており、総務省ではその指標をまとめて公表しています。これらの取り組みは世界単位で示されているものですが、企業単位・さらに個人単位で取り組めるものも多数あります。
世界中のひとりひとりがSDGsに目を向けて意識して取り組むことで、よりスムーズに目標を達成することが求められているのです。

世界の達成度と日本の状況

実はSDGs達成度はランキングが公表されています。独ベルテルスマン財団と持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)によると、2023年の世界の国々のSDGs達成度ランキングでは、1位フィンランド、2位スウェーデン、3位デンマークと、北欧諸国が名を連ねています。なお、日本は21位と、あまり評価されていません。

日本政府ではSDGsについて、8つの優先すべき課題と140の施策を公表しています。また、2019年には「SDGsアクションプラン2020」を発表し、経済やビジネス、地方創生、女性活躍推進などの観点からのアプローチを推進するなど、多方面でのSDGsへの取り組みを奨励しています。

藻類は究極のSDGs

そんななか、現在世界中から注目されているのが藻類(そうるい)。藻類とは、陸上以外で光合成を行う生物の総称です。身近なものとして、昆布やわかめなどの海藻があげられます。また、「クロレラやスピルリナ」は微細藻類と呼ばれる藻類の一種です。

藻類は、どんな土地でも光と水さえあれば生育できる優れた生物です。陸上に暮らす生物と比べて生産性も非常に高く、加えて栄養価も高い藻類は、地球の気候変動による食料危機にも対応できるとして注目されています。人々の食糧としてはもちろん、家畜の飼料にも活用可能。SDGsの3番目の目標である“飢餓をゼロに”や、13番目の目標である“気候変動に具体的な対策を”に役立つ生物として注目されているのです。

さらに近年注目されているのが、藻類のバイオ燃料化です。藻類からバイオ燃料と聞くとイメージがつかずに驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は藻類は、体内に油分を蓄えており、この油分はバイオ燃料に変換できるとされています。地球の温暖化につながる二酸化炭素(CO2)をつかって光合成を行うため、CO2増加抑制にもつながります。また、藻類は下水の浄化も可能です。

下水処理場で藻類を活用して浄化させたり、工場などで排出されたCO2を藻類の栽培に使用したりするだけでなく、さらにその藻類をバイオ燃料化すれば、環境負荷が少ないエネルギーへと変換できるのです。
これは、SDGsの7番目の目標である“エネルギーをみんなに そしてクリーンに”に直結する取り組みといえるでしょう。

藻類はどこからやってきた?

そんな藻類が、なぜ今まで脚光を浴びてこなかったのか?藻類の歴史を少し振り返ってみましょう。

藻類が誕生したのは、今から約25億年以上前とされています。地球上で初めて光合成を行った「シアノバクテリア」によって生じたという説が有力です。
シアノバクテリアが光合成によって生産した酸素は海で飽和。大気へと排出され、陸上生物に欠かせない酸素を生み出し地球の環境が整った、との説もあり、地球の生命誕生に大変大きな役割を果たしたことでも知られています。
なお、現在の私たちがエネルギーとして活用している石油は、藻類などのプランクトンの死骸の沈殿物が変化したもの。地球の危機に直面した現在の人類において、ふたたび地球の起源に目を向け、藻類を活用してクリーンな環境へとリセットすることが求められているのです。

近年の藻類研究について

地球にとっていかに藻類が大切な生物であるかが明らかになるにつれ、その研究も進んでいます。
その一つの例が、上記で紹介した藻類のエネルギー化による研究です。中でも、飛行機のジェット燃料などに活用するための「藻類バイオマス燃料化」については、なんと2,200兆円もの市場規模という予想もあがっています。しかし一方で、研究は進んでいるもののコストがかかるため、実用化には至っていません。
藻類バイオマス燃料化には大量生産が不可欠ですが、その技術が確立されていないのが現状といえます。

藻類のこれから

いかがでしたでしょうか?

日本人とっては食材としても馴染みのある(食べ物としての藻類はこちらの記事を参考ください)藻類が、実は現代の地球温暖化や自然エネルギーの枯渇を防げる重要な役割を果たす可能性があるというのは、意外に思われた方も多いのではないでしょうか。
藻類の研究が進み、藻類バイオマス燃料が実現化すれば、より豊かで持続可能な社会をつくることができそうですね。

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